米投資アプリ大手ロビンフッドが送り出した新たなレイヤー2ブロックチェーンに、巨額の資金が押し寄せている。
トークン・ターミナルによると、「ロビンフッド・チェーン」へブリッジされたイーサ(ETH)の総額は、運用開始からわずか1週間で7000万ドル(約113億4000万円)を突破した。
ロビンフッド・チェーンは、イーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性を持つ、アービトラム基盤のレイヤー2ネットワークだ。取引手数料を支払うためのネイティブ・ガストークンにはETHを採用している。
同チェーンは7月1日に稼働を開始。ロビンフッドは「AIネイティブで、現実資産のために専用設計されたネットワーク」と胸を張る。
トークン・ターミナルは木曜日、こう指摘した。
「普及がこのまま続けば、ロビンフッド・チェーンはETHに対する新たな大口需要源になり得る」
ロビンフッドは、120カ国以上の顧客に対して「トークン化株式」の提供も開始している。背景にあるのは、米国株をブロックチェーン上で取引したいという需要の急増だ。
RWA.xyzによると、現実資産、いわゆるRWAのトークン化市場では、イーサリアムとそのレイヤー2ネットワークがすでに50%を超えるシェアを握っている。ロビンフッドの参入によって、この“イーサリアム一強”がさらに盤石になる可能性がある。
眠っていた資金が「経済活動」に変わった
トークン・ターミナルは、Xへの別の投稿でこう表現している。
「ロビンフッド・チェーンは、流動性を急速に経済活動へと変えている」
実際、スタートから最初の1週間で、ロビンフッド・チェーンの1日当たりアクティブユーザー数は19万4000人に到達した。
1日当たりの収益も3万9000ドル(約632万円)まで増加。これを年間ベースに換算すると、約1400万ドル(約22億6800万円)の収益規模になるという。
分散型金融データサイトのデファイラマも、ほぼ同様の数字を示している。
同サイトによれば、ロビンフッド・チェーンの預かり資産総額(TVL)は4万6748ETH。記事執筆時点の価格では、約8300万ドル(約134億4600万円)に相当する。
木曜日の1日だけでも、3万1855ETH、金額にして約5500万ドル(約89億1000万円)が流入した。
ユニスワップ創業者のヘイデン・アダムズ氏は金曜日、ロビンフッド・チェーン上で行われている取引の大部分が、ETH建てになっていると説明した。
「ETHは取引の基軸ペアであり、最も取引量の多い資産であり、ブロックスペースの料金を支払うためのガストークンでもある。さらに、データ保存料を支払う際には、イーサリアムのレイヤー1上でETHがバーンされる」
つまり、ロビンフッド・チェーンが使われれば使われるほど、手数料支払いのためにETHが必要になる。しかも、その一部はバーンされ、市場から消えていく仕組みだ。
イーサリアム復活の“最後の切り札”になるのか
強気派が描くイーサリアムの長期成長シナリオには、RWAのトークン化、AIエージェントによる自動決済、機関投資家の参入、そしてネットワークの大型アップグレードがある。
2026年末までに予定されている「グラムステルダム」アップグレードでは、レイヤー1の処理能力が引き上げられる見通しだ。
ロビンフッドの巨大な利用者基盤と、イーサリアムの決済インフラが本格的に結びつけば、ETHに対する需要が継続的に生まれる可能性がある。
だが、価格を見る限り、市場はまだ完全には浮かれていない。
ETHは金曜日に一時1775ドル(約28万8000円)まで上昇したものの、依然として複数年ぶりの弱気相場の安値圏にある。2025年8月につけたピークからは、実に64%も下落したままだ。
わずか1週間で100億円を超えるETHを集めたロビンフッド・チェーンは、低迷するイーサリアムを救う救世主となるのか。それとも、一時的な“ご祝儀相場”で終わるのか。
少なくとも、世界最大級の個人投資家プラットフォームが「イーサリアム経済圏」に本気で乗り込んできた事実だけは、無視できそうにない。


