イーサ(ETH)価格はこの5日間で15%上昇し、6月26日に付けた1500ドル(約24万4000円)の安値から距離を取った。投資家心理が改善した背景の一つには、2026年後半に予定されているイーサリアムの「グラムステルダム」アップグレードの最終テストがある。さらに、ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズによる継続的なイーサ買い増しも、下値を支える材料となった。次に待つのは、2000ドル(約32万5000円)なのか。
Total crypto capitalization/USD (left) vs. ETH/USD (right). Source: TradingView
イーサは過去30日間で、暗号資産市場全体の時価総額を7%上回るパフォーマンスを見せた。市場の一部では、デジタル資産CLARITY法案の成立期待も買い材料となった。同法案は、ステーブルコイン規制や保有者への報酬を巡る銀行業界からの反発を受け、米議会での審議にいくつもの障害を抱えてきた。
ETH options 25% delta skew (put-call) at Deribit. Source: Laevitas
イーサが1800ドル(約29万2000円)に迫る最近の上昇は、ETHオプション市場にも一定の安心感をもたらした。プット・コールのスキュー指標は、先週金曜日まで続いていた「恐怖水準」を脱した。現在、同等のコール(買い)オプションに対するプット(売り)オプションのプレミアムは9%。強気と呼ぶにはほど遠いが、前週の15%からは明らかに改善している。一般に12%を超える水準は、極度の恐怖を示すとされる。
ETH価格上昇の裏に、イーサリアムの刷新とロビンフッド・チェーン
イーサリアムに向けられてきた主な批判の一つが、スケーラビリティの問題だ。レイヤー2ロールアップは「ブロブ」と呼ばれるデータパッケージを活用し、取引手数料を大きく引き下げた。一方で、長期的なデータ検閲や中央集権化を巡る激しい議論も呼び起こした。
基盤レイヤーのネットワーク手数料は打撃を受け、その結果、ETHのバーン量も減少した。最終的には、ETH供給がインフレ的に推移する構造を招いたのである。
Ethereum base layer monthly network revenue, USD. Source: DefiLlama
BitMine (BMNR US) ETH holdings and shares outstanding. Source: bmnr.rocks
現在テスト段階にあるイーサリアムのグラムステルダム・アップグレードは、より多くの取引を並列処理できるようにすることで、ネットワーク処理速度を改善する見通しだ。この提案では、イーサリアムがより高いスループットで多くのデータを扱えるようにし、データベース肥大化の抑制も目指す。狙いの一つは、金融分野で使える機関投資家級のインフラを提供することだ。
米国上場企業ビットマイン・イマージョンによる継続的な買い増しも、1500ドル(約24万4000円)のサポートを強めた可能性が高い。同社は過去1カ月で32万5000ETHを積み増し、保有量を574万ETHに増やした。現在、ETH保有分で80億ドル(約1兆3000億円)の含み損を抱えているにもかかわらず、ビットマインは既存供給量の5%取得という道をなお進み続けている。
7月2日に立ち上がったロビンフッド・チェーンも、イーサリアム・エコシステムと伝統金融業界の接近を後押しした。ロビンフッド・チェーンは、アービトラム技術を使って構築されたEVM互換のイーサリアム・レイヤー2である。
より重要なのは、ロビンフッドが120カ国以上でトークン化株式取引を展開し、ユニスワップ、ワンインチ、モルフォなど主要な分散型金融(DeFi)との統合も進めた点だ。
オンチェーン指標やデリバティブ市場を見る限り、イーサリアムにはまだ弱気な影も残る。ネットワーク手数料は低く、オプション市場の確信度も高いとは言えない。
それでも、イーサの上値余地は、現実世界における伝統金融ユースケースの拡大、そして基盤レイヤーの処理能力を大きく押し広げるネットワークアップグレードに支えられている。総じて言えば、ETHが近い将来に2000ドル(約32万5000円)へ向かう道筋は、十分に現実的と言えそうだ。


