分散型金融(DeFi)分析プラットフォームのザッパーが、来月にサービスを終了すると発表した。暗号資産市場の低迷が続くなか、またひとつ、暗号資産プラットフォームが市場から姿を消すことになる。
ザッパーのセブ・オーデットCEOは水曜日、Xへの投稿で、ザッパーのウェブサイト、モバイルアプリ、APIサービスを8月3日に終了すると明らかにした。2019年の創業から7年。2021年には億万長者投資家のマーク・キューバン氏らから出資を受けた注目企業だったが、その歩みはここで終わる。
オーデット氏はこう述べた。
「我々はいくつもの選択肢を検討し、可能な限り追求してきた。その結果、秩序ある形で事業を終了することが最善の道だという結論に至った」
ザッパーはサービス終了の具体的な理由を明かしていない。ただ、オーデット氏は返信のなかで「結局のところ、市場が決める」と述べており、需要低迷が背景にあることをにじまた。
コインテレグラフはコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
Source: Zapper
ザッパーの撤退は、暗号資産市場のセンチメントが過去最低水準に近づき、ベンチャーキャピタルからの資金調達も難しくなるなかで、相次ぐ暗号資産関連プラットフォームの閉鎖リストに新たに加わるものだ。
カルダノ系の分析プラットフォーム「タップツールズ」も6月に同様のサービス終了を決めた。その1週間後には、ビットコイン特化型DeFiプラットフォーム「ボタニクス」も、ビットコインDeFiへの需要の弱さを理由に閉鎖を発表している。
SBIの暗号資産部門、分散型メールサービスの「ディーメール」、さらにNFTマーケットプレイスの「ニフティ・ゲートウェイ」や「ロデオ」なども、今年に入って相次いで事業を終了している。NFT市場全体の活動低下が、その背景にある。
ザッパーは2019年に創業。同年後半、カイバーのDeFiハッカソンで優勝したことで一躍名を上げ、150万ドル、日本円で約2億4400万円のシード資金調達につなげた。
さらに2021年5月には、フレームワーク・ベンチャーズ主導のシリーズAラウンドで1500万ドル、約24億4000万円を調達した。このラウンドには、マーク・キューバン氏、コインベース・ベンチャーズ、俳優アシュトン・カッチャー氏が創業したサウンド・ベンチャーズも参加していた。
暗号資産トレーダーは、ザッパーのようなプラットフォームを使ってトークン価格を追跡し、DeFiのトレンドを把握し、新しいプロトコルを見つけてきた。ザッパーではウォレットを接続し、保有ポジションの確認、流動性プールやイールドファーミングの管理、今後のエアドロップ情報の把握もできた。
オーデット氏によれば、ザッパーはピーク時に月間アクティブユーザー200万人超へと成長し、処理した取引額は130億ドル、約2兆1100億円を超えたという。
だが、その道のりは順風満帆ではなかった。2025年4月にはソーシャルエンジニアリング攻撃を受け、攻撃者に一時的にドメインを乗っ取られた。これにより、何も知らないユーザーがフィッシング罠を仕込んだ悪質なページへ誘導される事態となった。
VC資金調達は「総額増」でも、狭き門に
暗号資産分野のベンチャーキャピタル資金調達額は、第2四半期に前年同期比57.6%増の42億1000万ドル、約6840億円となった。
一見すれば資金は戻ってきているように見える。だが、ルートデータのVCダッシュボードによれば、資金はより一部の案件に集中するようになっており、全体の取引件数は過去10四半期のうち9回で減少している。
つまり、暗号資産業界に金が流れていないわけではない。だが、その金を手にできる企業は、かつてよりはるかに限られている。ザッパーの退場は、暗号資産バブルの余熱で生き延びてきたサービスが、いよいよ市場から選別される局面に入ったことを物語っている。


